けん玉
日本で古くから親しまれている木工玩具のけん玉。初めてけん玉が日本国内に登場したのは江戸時代中期と言われています。明治時代に入り木工玩具として大流行しますが、当時のけん玉は棒に玉を刺しただけのシンプルな形でした。今の形になったのは、大正10年 (1921年)。当時家具の小物を製造していた広島県廿日市市の木工メーカーがこれまでのけん玉に受皿を取り入れ、「日月ボール」として製造開始しました。これが現在の原型となるけん玉です。
一時、木工玩具離れにより1998年にはけん玉づくりは途絶えることになり、けん玉の歴史も途絶えた時期がありましたが、これを惜しむ官民が連携し、広島県廿日市市木材利用センターが2000年にけん玉づくりを復活。2001年から製造が再開しました。近年ではアメリカを中心にストリートスポーツとしても人気が高まっています。
広島県にある廿日市市木材利用センターでは、現在も日月ボール・練習用けん玉・土産用けん玉を、熟練の職人が、一年に約2000個のけん玉を一つ一つ手作業で作っています。けん玉の材料には、桜、ブナなどが使われ、旋盤という機械を使って「玉」「皿」「胴」の各パーツが削りだされます。玉の部分は主にサクラで、剣や皿胴の部分は主にブナで作られており、一つ一つ削り・磨き・組み立てて、ミリ単位の作業にこだわりをもって製造しています。金属やプラスチックの製の玩具と違い、木製品ならではのぬくもりや職人の想い・ぬくもりがあるのも魅力の一つです。
近年2000年代からけん玉は、アメリカを中心に海外のストリートスポーツとしての人気の高まりを受け、けん玉発祥の地広島県廿日市でけん玉ワールドカップ廿日市実行委員会による「第1回けん玉ワールドカップ廿日市2014」が開催されました。その後、2015年~2019年と毎年けん玉ワールドカップを開催し、2021年には「けん玉発祥100周年記念 第8回けん玉ワールドカップ」をオンラインで開催し、全国9会場でオンライン実施。「けん玉を通じて世界をつなぐ」を合言葉に一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク (GLOKEN) が開催しています。世界各国からけん玉愛好家が集結し、自慢のトリック (技) を競う大会です。けん玉は、世代や国境を越えた「コミュニケーションの道具の一つ」として愛され、活躍し続けています。